「2027年に、宇宙人がやって来るらしい」
ここ数年、UFOやUAPを扱う動画、SNS、海外掲示板を見ていると、妙に具体的なこの年号に出会うことがあります。
語られ方にはいくつかあります。
2027年に地球外知的生命体、あるいはNHI(Non-Human Intelligence=非人間知性)が公然と姿を現す。米政府はそのことをすでに知っていて、社会が混乱しないよう2017年ごろから段階的な情報開示を進めている――。
さらに強い話になると、「2027年は政府に与えられた期限だ」「大規模な着陸が起こる」「宇宙人による侵略が始まる」といった設定まで付いてきます。
ここまでなら、いかにも都市伝説らしい話です。
ところが、この2027年説には少し引っかかるところがあります。
中心人物として繰り返し名前が出てくるのが、John Ramirez(ジョン・ラミレス)という人物だからです。
そして彼は、匿名の予言者として紹介されているわけではありません。
「元CIA職員」。
この肩書きが付いています。
先に大枠だけ言ってしまうと、Ramirezが2027年についてかなり踏み込んだ発言をしたこと自体は確認できます。
ただし、現在ネットで流通している「CIAは2027年に宇宙人が現れることを知っている」という話と、彼が実際に語った内容は完全には同じではありません。
むしろ原発言から数年後の本人説明まで追っていくと、2027年そのものよりも、ひとつの発言がどうやって「予言」へ育っていったのかの方が奇妙に見えてきます。
- なぜ「元CIA」の発言がここまで注目されたのか
- 2022年、John Ramirezは実際に何と言ったのか
- なぜ「2027」なのか――2017年の10年説とElizondoの「5年」
- たった数日で「発言」は「予言」へ変わっていった
- 何が増え、何が消えたのか――“CIAの予言”ができるまで
- 2025年、本人は「2027年に何が起こるか分からない」と語った
- 「侵略」「着陸」はJohn Ramirezの予言だったのか
- 米政府の公開資料に「2027年計画」はあるのか
- 10年計画は確認できない――それでも2017年が特別な理由
- 結局、2027年宇宙人説はどこまで本当なのか
- 予言より奇妙だったのは「予言ができるまで」だった
- よくある質問
- 参考資料
なぜ「元CIA」の発言がここまで注目されたのか
同じ2027年の話を、経歴の分からない匿名アカウントが投稿していたら、ここまで広がったでしょうか。
おそらく印象はかなり違ったはずです。
「元CIA職員が語った」。この一言だけで、その話には「何か内部事情を知っているのではないか」という空気が生まれます。
2022年にRamirezが出演したPodcast UFOの公式人物紹介では、彼は1984年から2009年までCIAなどで勤務した人物として紹介されています。
記載されている経歴にはCIAのDirectorate of Science and Technology、Directorate of Intelligence、さらにODNI(国家情報長官室)のNational Counterproliferation Centerなどが含まれます。
情報分析官、ELINT(電子情報)分析部門の責任者、弾道ミサイル防衛、兵器システムのレーダー、技術情報収集などに関わった経歴も紹介されており、CIA勤務以前には米海軍で電子戦関連の任務に就いていたとされています。
こうした経歴を見れば、「一般には知られていない情報に触れていたのではないか」と感じる人が出るのも自然でしょう。
ただし、ここには越えてはいけない線があります。
Podcast UFOでCIA勤務歴のある人物として紹介されていることと、2027年の話がCIAの公式情報だったことは別です。
情報機関に勤務していた人物が、組織内のすべての情報へアクセスできるわけでもありません。
今回確認できる公開情報だけから、「RamirezはCIAでUFOやNHIを担当していた」「2027年に関する機密計画へ職務上アクセスしていた」とまでは言えません。
それでも、この肩書きが2027年説へ強い「証拠らしさ」を与えたことは確かでしょう。
では、肩書きをいったん横に置いて、本人が実際に口にした言葉を見てみましょう。
2022年、John Ramirezは実際に何と言ったのか
2027年説の中心となったのは、2022年12月21日に公開されたPodcast UFO「537. John Ramirez, CIA [ret] PART 2」です。
番組公式ページ自体には逐語トランスクリプトが掲載されていないため、以下の短い原文は、当時の発言記録や後続報道と照合したものとして扱います。
まずRamirezは、2027年について条件付きでこう語っています。
“if they come in 2027”
出典:John Ramirez出演「Podcast UFO #537」(2022年12月21日公開)。公式配信ページには逐語録がないため、当時の発言記録・後続報道と照合しています。
Podcast UFO公式配信ページ /
SYFYによる発言引用記事
「もし彼らが2027年に来るなら」という意味です。
この時点では明確に仮定です。
ところが、同じ流れの中には、もっと強い表現も出てきます。
“they’re showing up in 2027”
出典:John Ramirez出演「Podcast UFO #537」。逐語表現はSYFY掲載の引用および当時の発言記録と照合。
Podcast UFO公式配信ページ /
SYFYの記事を確認する
「彼らが2027年に姿を現す」と読める言葉です。
Ramirezは、もしそのような事態があるなら、突然世界に突きつけるのではなく、人々を「そこに何らかの存在がいる」という現実へあらかじめ準備させる必要がある、という趣旨を話しています。
「2027」と「彼らが姿を現す」という組み合わせを、後のSNSが完全にゼロから作ったわけではありません。
Ramirez本人の発言の中にも、その下地はありました。
さらに、2027年説へ一段強い「内部情報らしさ」を与えたのが次の発言です。
“I’ve heard 2027 in kind of an official capacity”
出典:John Ramirez出演「Podcast UFO #537」。公式ページに逐語録がないため、SYFYに掲載された発言引用と当時の記録を照合しています。
Podcast UFO公式配信ページ /
SYFYによる引用記事
直訳に寄せれば、「2027という年を、ある種の公的な立場・文脈で耳にした」といった意味になります。
元CIA職員として紹介されている人物が“official capacity”という言葉を使えば、「政府内部で正式に2027年が共有されている」と受け取りたくなるのも分かります。
ただ、原文には“kind of”という曖昧さが残っています。
さらに同じ話の中には、“if”や“I think”など、条件や推測を示す表現もあります。
「もし2027年に来るなら」と「2027年に来ることを政府は知っている」では、情報の確度がまるで違います。
2022年の発言には、その両方へ読めてしまう材料が同居していたのです。
だからこの話は、「本人は何も言っていないのにSNSが全部捏造した」と片づけることもできません。
本人もかなり強いことを言っている。ただし、その強い部分の周囲には条件や推測も残っている。
この曖昧さこそ、後の2027年説を育てた大きな要因だったように見えます。
なぜ「2027」なのか――2017年の10年説とElizondoの「5年」
それにしても、なぜ2027年なのでしょう。
2026年でも2028年でもなく、なぜこの年だけが繰り返し語られるのか。
Ramirezの発言を見ると、その数字には少なくとも二つの時間軸が重ねられていました。
ひとつは2017年から数えて10年。
もうひとつは、Luis Elizondoの「5年」です。
2017年から2027年――「10年の時計」
Ramirezは2022年の発言で、2027について話した直後、2017年を起点にしています。
“that’s why in 2017, that set a clock of 10 years”
出典:John Ramirez出演「Podcast UFO #537」(2022年12月21日公開)。公式配信ページには逐語録がないため、当時の発言記録を補助資料として照合しています。
Podcast UFO公式配信ページ
「だから2017年に、10年の時計が動き始めた」という趣旨です。
この一文だけ切り取れば、2017年に米政府の正式な10年計画が始まったようにも聞こえます。
しかし、ここで確認できるのはRamirez自身がそういう時間軸を語ったことまでです。
「2017〜2027年の政府公式Disclosure計画」が存在することまで、この発言から証明できるわけではありません。
Elizondoの「5年」が2027へつながる
もう一人、2027年説で頻繁に名前が出るのがLuis Elizondoです。
Ramirezは、Elizondoが2022年に「5年」という時間を示したことを取り上げ、そこから2027年を計算しています。
2022年4月22日に公開されたThat UFO PodcastのElizondo出演回では、公式番組説明にも、
“In five years time..?”
出典:That UFO Podcast「Luis Elizondo; past, present & future」(2022年4月22日公開)。公式番組説明に記載されたトピックです。公式ページ上ではElizondo本人の「2027」という明言までは確認できません。
Apple Podcastsで確認する
というトピックが記載されています。
つまり、「5年後」という話題そのものが存在したことは確認できます。
しかし、今回確認できた公式ページでは、Elizondo本人がこのとき「2027」と明言した記録までは確認できません。
現時点で安全に整理すると、Elizondoが「5年後」を話題にし、Ramirezがそれを2022年から数えて2027年へ結びつけた、という順番です。
2017年から10年。2022年から5年。
別々の時間軸が同じ2027年で重なる。この一致は、2027年説にとって非常に強い物語装置になりました。
ただし、「二人が同じ秘密情報を共有していた」と確認されたわけではありません。
たった数日で「発言」は「予言」へ変わっていった
RamirezのPodcast出演後、2027という数字はほとんど間を置かず、本人の長い発言から切り離され始めます。
その変化は、年単位ではありません。数日単位です。
2022年12月22日――すでに「政府に与えられた期限」へ
Podcast UFO出演回の公開翌日、Redditのr/ufoには、こんなタイトルの投稿が立っています。
“The US has an ETI dictated deadline to disclose by 2027?”
出典:Reddit r/ufo、2022年12月22日投稿。本人発言の真偽を証明する資料ではなく、2027年説が公開直後にどのような形で拡散していたかを確認するための資料です。
元投稿を確認する
「米国には、地球外知性によって決められた2027年までの情報開示期限があるのか?」という意味です。
ここではすでに、Ramirezの「2027」「準備期間」「showing up」といった言葉から、「地球外知性が政府へ期限を与えた」という新しい設定が生まれています。
少なくとも、今回確認した2022年の元発言から、その設定をそのまま裏づけることはできません。
コメント欄では「侵略」「社会崩壊」「世界戦争」など、その先に起こる出来事まで想像されています。
もちろん、これはユーザーの推測です。
ただ、2027という一つの年号が、別の未来予測を吸い寄せる器になり始めていたことは分かります。
年末には「大規模Disclosure event」へ
さらに2022年12月31日、r/UFOsには、
“What’s Coming in 2027?”
出典:Reddit r/UFOs、2022年12月31日投稿。2027年が独立した未来イベントとして語られ始めていたことを確認する資料です。
元投稿を確認する
という投稿が現れます。
投稿者はRamirezを、2027年に、
“potentially big Disclosure event”
出典:同上、Reddit「What’s Coming in 2027?」(2022年12月31日)。
元投稿を確認する
が起こる可能性を語る人物として紹介しています。
つまり2022年が終わるころには、「2027」はPodcastの一発言を離れ、成否を待つ未来イベントのように扱われ始めていました。
興味深いのは、この時点ですでにコミュニティ内部から反論も出ていることです。
Ramirezの発言、Elizondoの「5年」、別の噂を一つの確定的な2027年予言へまとめるのは強すぎる――そんな趣旨の指摘もあります。
2023年、「mass landing」という言葉まで現れる
翌2023年になると、表現はさらに具体的になります。
RedditにはRamirezの発言を、
“There will be a mass landing event”
出典:2023年のReddit投稿でRamirezの発言として再提示された表現。今回確認した2022年の元発言と完全一致する逐語引用としては確認できないため、噂の変形例として扱っています。
該当Reddit投稿を確認する
という内容だったとして紹介する投稿も現れます。
ただし、これは注意が必要です。
今回確認した2022年の発言記録と完全に一致する表現ではなく、Reddit投稿者側がRamirezの発言として再提示しているものです。
しかも同じ投稿者自身が、短い切り抜き動画について、文脈が削られセンセーショナルに加工されていると指摘しています。
つまりこの時期、UFOコミュニティ内部では「2027年にmass landingがある」という強い言葉と、「その切り抜き、元の文脈と違わないか」という疑問が同時に存在していました。
一般メディアでは「2027年に宇宙人が姿を現す」へ
2023年8月には、SYFYが、
“Aliens Will Reveal Themselves in 2027, Claims Former CIA Agent”
出典:SYFY「Aliens Will Reveal Themselves in 2027, Claims Former CIA Agent」。Ramirez本人の発言そのものではなく、2027年説が一般向けメディアでどのように見出し化されたかを示す例です。
SYFYの記事を確認する
という見出しの記事を公開します。
「元CIA職員によれば、宇宙人は2027年に姿を現す」。非常に分かりやすい見出しです。
記事本文にはRamirezの“they’re showing up in 2027”や“official capacity”に関する発言も載っているため、完全にゼロから作られた見出しではありません。
しかし、見出しだけを読むと、元発言にあった“if”“I think”“kind of”といった留保はほとんど見えません。
何が増え、何が消えたのか――“CIAの予言”ができるまで
2027年説は、広がるほど具体的になっていったように見えます。
ところが、その過程で新しい証拠が次々に追加されたかというと、少なくとも初期拡散を見る限り、そう単純ではありません。
むしろ目立つのは、元発言にあった曖昧さが短い要約の中から抜け落ちていくことです。
たとえば“if”“I think”、そして“kind of an official capacity”の“kind of”。
こうした数語は、短い見出しやSNS投稿では簡単に消えます。
しかし、「もし2027年に来るなら」から“if”を落とせば、「2027年に来る」になります。
「ある種の公的な文脈で聞いた」から曖昧さを落とせば、「政府から正式に知らされた」のように読めてしまいます。
そこへ「元CIA」という肩書きが加われば、「CIA内部では2027年の出来事が正式に共有されている」という像が完成しやすくなります。
そしてもう一方では、deadline、Disclosure event、mass landing、invasionといった設定が増えていく。
つまり2027年説では、新しい設定が加わるのと同時に、元発言にあった留保が消えるという二つの変化が起きていました。
その結果、情報量そのものは減っているのに、確信だけが強くなっていきます。
ただし、ネットだけを責めるのも正確ではありません。
そもそもRamirez本人が“they’re showing up in 2027”や“official capacity”という強い言葉を使っていたからこそ、こうした要約が生まれやすかったのも事実です。
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2025年、本人は「2027年に何が起こるか分からない」と語った
2025年6月20日、RamirezはAREA52「DEBRIEFED ep.42」に出演し、2027について改めて質問されています。
そこでの説明は、2022年の強い断片だけを記憶していると、かなり印象が違います。
Ramirezはまず、自分の2027年に関する見方について、
“It’s just an opinion.”
出典:AREA52 – DEBRIEFED ep.42、John Ramirez出演回(2025年6月20日公開/約1:44:33)。
公式配信ページ /
補助トランスクリプト
と述べています。
「これは単なる意見です」という意味です。
さらに、2027年について秘密情報を持っているのかというイメージからも距離を取ります。
“There’s no secret about 2027.”
出典:AREA52 – DEBRIEFED ep.42(約1:46:13)。
公式配信ページ /
発言トランスクリプト
そして、その情報の性格について、
“hearsay at this point”
出典:AREA52 – DEBRIEFED ep.42(約1:46:30)。
公式配信ページ /
発言トランスクリプト
と表現しています。
“hearsay”は、この文脈なら「伝聞」「人づてに聞いた話」くらいの意味です。
そして、その説明の中でRamirezは非常に明快な一文を置いています。
“I don’t know what’s going to happen in 2027.”
出典:AREA52 – DEBRIEFED ep.42(約1:46:54)。Ramirez本人が2027年について説明した箇所です。
公式配信ページ /
発言トランスクリプト
「2027年に何が起こるのか、私は分かりません。」
少なくとも2025年の本人は、2027年に起こる出来事を確定的に知っている人物として自分を説明していません。
Ramirezはまた、2027という数字は自分が最初に生み出したものではなく、チャネリングを行う人々の間でも語られていたという趣旨を説明しています。
ただし、今回確認できるのはRamirez本人が2025年にそう説明したということです。
「2027年説の起源はチャネリングだった」とまでは断定できません。
「侵略」「着陸」はJohn Ramirezの予言だったのか
2027年説の中でも特に刺激が強いのが、「宇宙人による侵略」「大規模な着陸」というバージョンです。
2026年3月に公開されたOrion Mediaの番組では、Ramirezの後年の発言映像が紹介されています。
その中で彼は、
“I never said that we’re being invaded by ETs in 2027.”
出典:Orion Media「Israel, Iran, UFOs, and the 2027 Prophecy Connection」(2026年3月1日公開/約59:52)。番組内で紹介されたRamirezの後年の発言です。2026年3月1日をRamirez本人の発言日とは扱っていません。
Orion Mediaトランスクリプトを確認する
と述べています。
「2027年にETに侵略されるなどと私は言っていない」という意味です。
続けて、2027年に彼らが着陸すると言ったわけでもないという趣旨を説明しています。
ここは2022年発言との両方を残して見るべきでしょう。
Ramirezは確かに“showing up in 2027”という強い言葉を使いました。
一方、「2027年に宇宙人の侵略が始まる」「大規模着陸が確定している」という、さらに強いバージョンについては、本人が後年否定しています。
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米政府の公開資料に「2027年計画」はあるのか
本人の証言だけではなく、政府側の公開資料も確認してみましょう。
もし本当に米政府が2027年に向けたNHIの情報開示計画を持っているのなら、公開されている政府資料には何か痕跡があるのでしょうか。
この確認で中心になるのが、米国防総省のAARO(All-domain Anomaly Resolution Office)です。
AAROの2024年歴史報告
2024年3月、AAROはHistorical Record Report Volume 1を公開しました。
米国防総省はその結論について、
“no verifiable evidence”
出典:米国防総省、AARO Historical Record Reportに関する公式声明(2024年3月)。政府・民間企業が地球外技術へアクセスしている等の主張について、AAROが検証可能な証拠を確認していないとする説明です。
米国防総省公式声明を確認する
という表現を使っています。
ここで言われているのは、米政府や民間企業が地球外技術へアクセスし、それをリバースエンジニアリングしているという主張について、AAROが検証可能な証拠を確認していないということです。
これは「宇宙人は存在しない」と証明した報告書ではありません。
2026年公開の最新年次報告では何が分かるのか
AARO公式サイトでは、2026年7月20日にFiscal Year 2025 Consolidated Annual Report on Unidentified Anomalous Phenomenaが追加されています。
この報告によると、AAROは2024年6月2日から2025年5月30日までの対象期間などに319件のUAP報告を受け取りました。
そのうち114件を解決し、さらに以前から蓄積していた256件も期間中に解決したため、期間中の解決総数は370件です。
319件より370件の方が多いのは、今回新しく受け取った案件だけでなく、それ以前から残っていた案件も解決したためです。
解決された事例についてAAROは、
“all resolved cases are attributable to prosaic objects”
出典:AARO「Fiscal Year 2025 Consolidated Annual Report on Unidentified Anomalous Phenomena」。解決済み事例についての公式記述です。
AARO公式PDFを確認する
としています。
気球、衛星、鳥、航空機、無人航空機など、通常の対象として説明されたということです。
ただし、すべてが解明されたわけではありません。
同じ報告では191件がactive archiveへ移され、9件は追加分析が必要とされています。
そして、ここを「未解決だからNHIだ」と飛躍させることもできません。
「正体が分からない」と「地球外由来である」の間には、まだ大きな距離があります。
「2017〜2027年の10年開示計画」は見つかるのか
今回、AAROの歴史報告、年次報告、国防総省の公開説明、AAROの議会・報道向け資料一覧を確認しました。
しかし、「2017年から2027年までの10年間を使い、人類をNHIの存在に慣らすための政府公式Disclosure計画」を示す公開文書は確認できませんでした。
ここで「だから絶対に存在しない」と言うのも強すぎます。
公開されていない資料の存在まで、外部から完全に否定することはできないからです。
ちなみに、AAROのような政府のUAP対応を見ていると、もう一つ気になることがあります。
では、日本政府や自衛隊は、正体不明の物体を実際に確認したとき、どう動くのでしょうか。
日本にも「識別不能の物体」を報告・記録・分析するための指示があり、スクランブルや武器使用、さらにUAP情報を政府内でどう集約するかという議論も進んでいます。日本政府・自衛隊の「未確認物体」への対応については、別記事で公的資料をもとに詳しく追っています。

10年計画は確認できない――それでも2017年が特別な理由
政府の2027年計画は見つからない。
では、Ramirezが「10年の時計」の起点にした2017年も、単なる後付けだったのでしょうか。
2017年という年自体は、UFO・UAP問題の情報環境が大きく変わった転換点でした。
2017年12月、The New York Timesは、米国防総省が過去に未確認航空現象に関連する調査へ資金を投じていたことを報じました。
このとき広く知られるようになったのがAATIPという名称です。
ただし、後年のAARO Historical Record Reportでは、AAWSAPとAATIPの関係は2017年当時一般に理解されたより複雑だったと整理されています。
AAROによれば、DIAは2009年にAAWSAPを設立し、総額2200万ドルが確保されました。
その後、2020年にはUAP Task Forceが設置され、2021年にはODNIがUAPに関する予備評価を議会へ提出。さらに制度改編を経て、2022年には現在のAAROへつながっていきます。
だから後から振り返れば、2017年を「時計が動き始めた年」と見る物語が生まれやすい背景は確かにあるのです。
ただし、2017年が本当に転換点だったことと、2017年から2027年までNHI開示の秘密計画が進められていることは別です。
結局、2027年宇宙人説はどこまで本当なのか
| 2027年説で語られていること | 現時点の確認状況 |
|---|---|
| John Ramirezが2027年について語った | 確認できる |
| “showing up in 2027”など強い表現を使った | 当時の発言記録で確認できる |
| “official capacity”という表現を使った | 当時の発言記録で確認できる |
| 2017年から2027年までの「10年」を語った | 確認できる |
| Elizondoの「5年」をRamirezが2027へ結びつけた | 確認できる |
| CIAが2027年のNHI到来を公式情報として把握している | 確認できない |
| 米政府に2017〜2027年の公式Disclosure計画がある | 公開資料では確認できない |
| Elizondo本人が2022年に「2027」と明言した | 現時点では確認できない |
| Ramirezが2027年の宇宙人侵略を予言した | 後年、本人が否定 |
| Ramirezが2027年の確定的な着陸を予言した | 後年、本人が否定 |
| 2027年にNHI・宇宙人が実際に姿を現す | 現時点では判断できない |
この表を見れば、「全部デマだった」とするのも違うことが分かります。
元になった本人発言は確かにあります。しかも、思っていた以上に強い言葉も含まれています。
一方で、その発言を「CIAが2027年の宇宙人到来を公式に知っている」という形まで強める公開証拠は確認できません。
予言より奇妙だったのは「予言ができるまで」だった
2027年に何が起こるのか。その答えは、今の時点ではまだ出せません。
けれど今回の調査で、かなり輪郭が見えたものがあります。
「2027年に宇宙人が来る」という予言が、最初から完成した形で存在していたわけではないことです。
出発点には、Ramirez本人の強い発言がありました。
2027という具体的な年、“showing up”、“official capacity”、2017年から10年という時間軸、そしてElizondoの「5年」。
しかし元の発言には、同時に“if”“I think”“kind of”という曖昧さもありました。
拡散の途中で、その留保が薄れていく。
そこへ「政府に与えられた期限」「Disclosure event」「mass landing」「侵略」「着陸」という別の設定が加わる。
そうして、「元CIA職員が2027年について強い推測を語った」という話は、「CIAは2027年の宇宙人到来を知っている」という物語へ姿を変えていきました。
数年後、Ramirez本人は2027について「意見」「伝聞」と説明し、「2027年に何が起こるのか分からない」と語っています。
それでも2027という数字そのものが消えないのは、この都市伝説が完全な無から作られたものではないからでしょう。
2027年に何が起こるのかは、まだ分かりません。
けれど、「2027年予言」がどう作られたのかについては、かなり輪郭が見えてきたようです。
よくある質問
2027年に宇宙人が来るという説は本当ですか?
現時点では、2027年に宇宙人やNHIが実際に姿を現すことを裏づける検証可能な公開証拠は確認できません。
ただし、John Ramirezが2022年に2027年についてかなり強い発言をしたこと自体は確認できます。「元ネタが完全に存在しない噂」ではありません。
John Ramirezは本当にCIA職員だったのですか?
Podcast UFOの公式人物紹介では、Ramirezは1984年から2009年までCIAなどで勤務した人物として紹介されています。
ただし、この経歴紹介と、2027年の話がCIAの公式情報だったことは別です。
John Ramirezは本当に「2027年に宇宙人が来る」と言ったのですか?
単純なYES/NOでは答えにくいところです。
当時の発言記録には“they’re showing up in 2027”というかなり強い表現があります。一方、“if they come in 2027”“I think”“kind of an official capacity”といった条件・推測・曖昧さも含まれていました。
2017年から2027年の政府開示計画は存在しますか?
今回確認したAARO、米国防総省などの公開資料では、そのような公式10年計画は確認できませんでした。
参考資料
John Ramirez本人の出演・発言
-
Podcast UFO「537. John Ramirez, CIA [ret] PART 2」
2022年12月21日公開。2027年説の中心となったRamirez出演回。
Apple Podcastsで確認する -
AREA52 – DEBRIEFED ep.42
2025年6月20日公開。Ramirezが2027年について「意見」「伝聞」「何が起こるか分からない」と説明した後年インタビュー。
Apple Podcastsで確認する -
Orion Media「Israel, Iran, UFOs, and the 2027 Prophecy Connection」
2026年3月1日公開。番組内で紹介されたRamirezの後年発言から、侵略・着陸説への本人説明を確認するために使用。
トランスクリプトを確認する
Luis Elizondo関連
-
That UFO Podcast「Luis Elizondo; past, present & future」
2022年4月22日公開。“In five years time..?”という公式番組トピックの確認に使用。
Apple Podcastsで確認する
米政府・AARO公式資料
-
AARO Historical Record Report Volume I
米国防総省公式PDF -
AARO Fiscal Year 2025 Consolidated Annual Report on UAP
AARO公式PDF -
米国防総省 AARO Historical Record Report関連声明
米国防総省公式声明
2027年説の初期拡散
-
Reddit「The US has an ETI dictated deadline to disclose by 2027?」
2022年12月22日の投稿を確認する -
Reddit「What’s Coming in 2027?」
2022年12月31日の投稿を確認する -
Reddit「mass landing」関連投稿
該当投稿を確認する
報道・補助資料
-
SYFY「Aliens Will Reveal Themselves in 2027, Claims Former CIA Agent」
SYFYの記事を確認する -
AREA52補助トランスクリプト
Podscriptsで確認する
※Redditなどの投稿は、「その噂が当時存在した」「どのように表現が変化したか」を確認するための資料です。投稿内容そのものを2027年説が真実である証拠として扱っているわけではありません。
※2022年のPodcast UFO出演回については、公式配信ページに逐語トランスクリプトが掲載されていないため、英語の短い直接引用は当時の発言記録および後続報道との照合に基づいています。


